01
始まりはいつも唐突で
始まりはいつも理不尽で
始まりを自分で決めることってどれくらいあるのだろう?
「ん?ここは・・・?」
僕は今・・・・・・・駅にいる。
それはいい。
極々普通のことだろう。
けど、この周りに散乱している機械はいったい・・・・・・
なんとなく形状を考えると戦闘機が墜落したように見える。
僕はその中心にいるんだけど・・・・・・
どうなったのか記憶に無い。
戦闘機が落ちたときのショックで意識を失ったのかな?
それならこの現状が記憶に無いことも納得がいくよね♪
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
やけに空が騒がし・・・・・・・・・・・え?!
巨大怪獣?
巨大怪獣の周りで爆発が・・・・・・ミサイルみたいだね。
あれって効いてないよね?ものすごく税金の無駄って感じがしていい感じ♪
だから国民に嫌われるんだよ。
まあ、そんなことはいいとして。
ここは危ないね。
逃げなきゃ。
あ、服がボロボロに破けてる。
何でだろう?
身体には怪我一つ無いのに。
いいや、暖かいし上着は全部捨てていこう。
さいわい人は全然いないしね。
キキキーーーーーーーーーーーーーーーーーイイィーーーーーーーー バタン
どこから現れたのか青い車が僕の目の前で止まった。
暴走音は戦闘機の音でかき消されてたんだねきっと。
「お待たせシンジ君!!」
いえ、僕は待ってませんし、シンジという子でもないですよ。
「こっちよ!乗って!!」
「違います。人違いです。さようなら。」
と、しごくまともかつ丁寧に答えてこの女の人から逃げることを選択した。
「それでは♪」
嫌な感覚が身体をめぐっている。
さわやかな台詞を残して回れ右をして全力で走る!!
「ぐえ!」
反射的に声らしきものを上げてしまった。
何なんだよいったい!
いつの間にか車から出てきて僕との間合いを詰めていた女の人が僕にヘッドロックを食らわせていた。
余裕ですねこの人。
「こちとらちゃんと資料を見て確認してるのよ!何で逃げようとするのよ!!時間が無いってのに!!!」
何か分けのわからないことを言われている。
僕はシンジっていう子じゃないのに。
僕はヘッドロックをされたまま車に積み込まれ、車は走り出した。
「まったく!手間をかけさせるんじゃないの!」
なんてことをいうのでしょう。
勝手に間違えて詰め込んだくせに。
「しっかり掴まってんのよ!!」
僕の返事を待たないうちに出発というかすでに出発してるじゃないか!!
と思ったらすぐに運転が乱暴というか暴走というかそんな状態になった。
止めてぇえええええ!!
って、これって誘拐じゃないの?
シンジって言う子の代わりに僕が・・・・いやああああああああああああああああああ!
冗談!冗談!!冗談!!!冗談じゃない!!!!
「ごめんねおくれちゃって。国連軍の湾岸線車隊も全滅したわ。軍のミサイルじゃ何発撃ったってあいつにダメージは与えられない。」
あ、その意見は同意。
税金の無駄なのはさっき嫌ってほど見たしね。
って、共感してどうするよおい!
「あ、巨人がもう一体増えた。」
紫色の細身の巨人が戦い(?)に参戦した。
何がなんだかさっぱりな状況が出来上がってきてるな、うん。
「状況の割りに落ち着いているのね。」
「そうですか?たぶん事態が理解できてないだけですよ。きっとね。だから気にしなくていいです。」
刺激しないほうが得策だよね?
「そ・・・そうなの・・・?」
「それはともかく巨大生物っていたんですね。」
「あれはね、使徒よ。後から出てきたほうは味方よ。」
「まあ、どうでもいいですけど。」
味方と言われた紫の巨人は一方的にやられている。
「あんたねぇ。」
少しあきれたように呟く女の人。
何か言ったかな?
「あれ?戦闘機が撤退していく?」
巨人に群がっていた戦闘機がちりじりになっていく。
「来たか!顔を引っ込めてショックに備えて!!!」
「は?」
この人は何を言っているんだろう?
あ、いつの間にか紫の巨人も姿を消してる。
そう思ったときにシトを中心に爆発が起きた。
(I−ブレイン起動。アインシュタイン起動。空間曲率制御開始。次元回廊発動)
轟音が鳴り響くが衝撃波は来なかった。
小さく振動しただけ。
どうなってるんだ?
それよりもこの状況をどうしよう?
シンジ君はこの近くでおびえているかもしれない。
もしかしたらもうすでにしんじゃっているかも知れない。
「前!!前!!!」
「へ?」
なぜか防御体制に入っていた女の人は猛スピードだというのに運転がおろそかになっていた。
そのせいで事故になりかけた。
なんだかなあ。
「ちょっと!どういうこと?」
それは僕が聞きたいです。
「まあいいわ。シンジ君、なんで上半身裸なの?」
僕はシンジじゃなくてだねぇ・・・・・・あれ?僕の名前は・・・・・・え?
思い出せない。
名前どころか思い出とかも全部。
血の気が失せるような感覚に襲われた。
もしかして記憶喪失?
とにかく今はこの状況をどうにかしないと。
「服が破けてしまったので・・・その、邪魔になるだけだったので・・・」
頭が回っていない。
混乱している証拠だ。
「なるほどね、そういう趣味なのかと思ったわ。」
そういう趣味?
気になったけどここで深い会話をするととんでもないヘマになりそうな気がしたから極力会話は避けよう。
妖しくない程度に話をして。
女の人は運転中なのに携帯電話を取り出しどこかへ電話をした。
「あ、リツコ?今からそっちに行くからカートレインを用意しておいて。」
それだけ言って女の人は電話を切った。
リツコって言うと女の人の名前っぽい。
命令を下していたようだし、名前で呼んでいたから仲のいい部下なのかもしれない。
・・・ということは今からそういうところに連れて行かれるわけか?
「シンジ君、何かお父さんからもらってない?」
「え?」
「だから、お父さんからの手紙に何か入ってなかった?」
とりあえずポケットを探る。
何か出てきた。
とりあえず中身も確認せずに出てきた封筒を渡す。
女の人は運転中にも関わらずざっと目を通すと微妙な表情をした。
すると女性は紙を取り出して僕のほうに差し出した。
「シンジ君、着くまでこれを読んどいて。」
その封筒で正解だったの?
「はあ・・・・・・えぬ、いー、あーる、ぶい?」
パンフレット?
「そう、国連直属の秘密組織、特務機関ネルフ、私もそこに所属してるの。ま、国際公務員ってやつね。」
国際公務員・・・なぜかこの単語に体が反応した。
「あなたのお父さんと同じよ。」
「お父さんと同じ・・・・・・・」
こういう豪快な人と同じって、シンジ君のお父さんはどういう人だよ。
「苦手なのね、お父さんのこと。」
沈黙していたら何を勘違いしたのかそんなことを言ってきた。
「いえ、別に。」
お父さんの記憶も無いのに苦手も何もない。
そもそも、どこで記憶を落とした?
さっき目が覚めたときには・・・もうなかったような気がする。
どうしよう、手がかりが無いよ。
でも、僕はシンジ君への手紙を持ってたみたいだし・・・僕はシンジなの?
長い・・・なんだか知らないけど、とても長いトンネルを抜けるとなんだか薄暗かった。
天井がある・・・ということはここは地下?
地下の世界をこれだけ照らせる光源ってどこにあるんだろう?
あ、ピラミッドがある。
・・・・・・なんだ、遺跡じゃないのか。
ちょっとがっかり。
それにしても地下なのに森がある。
太陽が無いのに木が育つのか?
「これが私たちの秘密基地。ネルフ本部。世界再建の要。人類の砦となる場所よ」
それはともかく。
「氷河期が来てもここにいれば生き残れそうですね。」
「・・・・・・それって嫌味?」
ん?
「いえ、感想ですけど・・・・・・嫌味に聞こえましたか?」
そう聞こえるだけの心当たりでもあるのかな?
ま、僕には関係ないけど・・・・・・関係ないと信じたいけど・・・・・・
そういえば手紙の内容ってなんだったんだろう?
手紙を開いてみる。
来い ゲンドウ
とだけ書かれていた。
・・・・・・あの、もう降ろしてもらっていいですか?
いくら記憶の手がかりになりそうっていってもこんな手紙書く人格の人と会いたくないよ!
そうこうしているうちにもう建物の中に入ってしまった。
「おっかしいわねぇ、確かにこっちであってるはずなんだけど・・・」
・・・・・・この人についていったらもしかして迷子になりそう?ってか、なってますか?
「システムは使うためにあるのよね♪」
最初から使わなかったら宝の持ち腐れ、二度手間・・・・・・
しかもシステムをあなたに使えるんですか?
「どこに行くの?二人とも。」
僕も勘定に入れられているのはなぜ?
まあ、いいんだけどね。
「あ、リツコ。」
「人手も時間も足りないのよ。わかってるの?」
リツコと呼ばれた女性・・・金髪が似合ってない女性。
「迷っちゃったのぉ〜〜♪まだ不慣れでさ。」
この人ってノリが軽いね。
なんだか、苦手だ。
金髪のとは気が合いそうな気がする。
あくまでも気がするだけだけどね。
「その子ね、例のサードチルドレンって。」
サードチルドレン?
三番目の子供たち・・・・・・僕って三男坊?
だったら早く家族に会いたい。
あったら本当に僕がシンジなのかどうか確認が取れる。
記憶が戻らなくてもそれだけで充分会う理由がある。
「私は技術一課E計画担当博士、赤木リツコ、よろしく。」
自分で博士って言っちゃって・・・恥かしいなぁもう。
「いらっしゃい、シンジ君。お父さんに会わせる前に見せたいものがあるの。」
そんなのは別にいいです。
声に出せればいいんだけど、怪しまれたら嫌だ。
なぜかボートで移動する。
なぜテーマパークでもないのに建物の中に湖があるんだろう?
それとも下水道なのかな?
『総員第一種戦闘配置!繰り返す!総員第一種戦闘配置!!対地迎撃戦初号機起動用意!!』
「ちょっと!どういうこと!?」
今のアナウンスで何か疑問に思うことでもあったのかな?
まあ、上の怪物とやりあうなら今さら第一種戦闘配置というのはちょっと遅すぎるだろうけど。
「初号機はB装備のまま現在冷却中!いつまでも再起動できるわ。」
「そうじゃなくって!レイにはもう無理なんじゃないの?パイロットはどうすんのよ!!」
「・・・・・・・・・・・」
黒髪女性の問いに金髪女性は沈黙で返す。
この人たちって本当に仲間?
情報が一方だけに集中していて対等の立場とは思えない。
もしかしたら博士っていうくらいだから金髪女性のほうが地位が上なのかもしれないね。
「何考えてんのかしら司令は・・・・・・」
今は金髪女性が何を考えているのか問いただすほうがいいと思うんですけど。
「NN地雷は使徒に効かなかったの?」
「ええ・・・表層部にダメージを与えただけ・・・・・・以前進行中よ。やはりATフィールドをもっているみたいね。おまけに学習能力もちゃんとあって外部からのリモートコントロールではなくプログラムによって動作する一種の知的巨大生命体とMAGIシステムは分析しているわ。」
跳ねた水が顔に掛かった。
その瞬間、体が跳ねた。
ドウシテコンナトコロニイノチノミズガ?
コレガアルナラコレデ!!
体が痙攣する。
なんだ今の?
どうしたの?
なに?
「それって!」
「そう、エヴァと一緒。」
いのちのみず・・・・・・命の水?
これがあれば、何?
僕は何を思った?
「着いたわ。ここよ。」
はっと意識が正常に戻る。
金髪女性の後をついていく。
「暗いから気をつけて。」
金髪女性が明かりをつける。
暗くて危ないなら最初からつけといてくれないかな?
それはともかく巨大な顔がある。
さっきの巨人?
もともとの質量が質量だから圧迫感を多少覚える。
「人の造り出した究極の汎用人型決戦兵器。人造人間エヴァンゲリオン、我々人類の切り札、これはその初号機よ。」
・・・・・・見せたいものってこれ?
これを見たからもう家族のところに連れて行ってほしいんだけど・・・・・・
「久しぶりだな、シンジ。」
声のした方を見ると見慣れないグラサンを掛けた馬鹿みたいな髭を蓄えたおっさんがいた。
・・・・・・・・・・・もしかして(大汗)あれがお父さん?
僕ってどんな顔してるのか非常に気になってきたぞ。
「ふ・・・・・・出撃。」
髭グラサン男が口元をにやりとゆがめ変なことをいう。
うわぁ、気持ち悪い!あんな感じで僕も笑うの?いやだぁああああああああああああ
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